最近、心と体のバランスをとる座禅が静かな人気と聞いた。会社ではパソコンに縛られて肩こりがひどく、プライべートでは進む道に迷う…‥。こんないらいらや不安の多い方々。ストレスを放っておくと、眠れなくなったり体調を崩したりするのが悩みだ。東洋で生まれたヨガや太極拳は体験したことがあるが、座禅はどんな効果があるのだろう?
座禅体験
体疲れた時ほど集中
臨済宗・円覚寺(神奈川県鎌倉市)は、古くから一般に門戸を開き、毎朝の座禅会もある。
初心者向けの土曜座禅会に参加した。会場は、緑に囲まれた修行道場の「居士林」。
静寂に包まれて

25分ずつ2回座り、最後はお経を読む。木製の「警策」でたたいて欲しい時は合掌して待つ。「調身」「調息」「調心」といって姿勢と息、心を整えるんです。
合掌して禅堂に入る。大きい座布団を畳に置き、さらに小さい座布団を重ねると高さがあって足を組みやすい。好きなほうの足を太ももの上に上げる。本格的には両足を上げて組むが、無理しなくていいとのこと。腰を立ててあごを引く。両ひざとお尻の3点バランスよく座る。
手のひらを重ねる。親指をあわせて楕円形にし、おへその近くにすとんとおく。目は閉じず、1cmほど先を見据える。
奥歯をかみしめ、鼻からゆっくりはいて吸う。へその下(丹田)から息をしぼりだす。1から10まで数えるといいと教わった。
さわさわとこずえが揺れる音と、鳥の鳴き声しか聞こえない。「1,2,3、…‥」と心の中で数えているうち、リラックスしてきたのか眠くなった。たたいてもらおうと思ったところ「チ-ン、カチカチッ」という合図で1回目が終了。
しびれを忘れる
休憩を挟んで2回目。今度は足がしびれてきた。集中できず、目が泳ぐ。
おじぎしあう。両ひじをつかんで体を丸める。「ペン、ペンペンッ」。両方の肩をたたかれる。痛い。でも眠気としびれを忘れ、すっきりした。
実際は「呼吸を数えなくちゃ。ここを覚えておいてメモしないと」と雑念が浮かんできた。この日の参加者は約40人。若い男性や作務衣を着たシニア、おしゃれした若い女性もいた。悩みや好奇心…‥いろいろな思いを抱えて来ているのだろう。
みんなで座り、声を合わせてお経を読むと、ほどよい緊張感が心地いい。予想していた「無になる」という感じはなかったが、体は軽くなった気がした。
ワ-クショップ
寺での座禅会にしっくりこなかった人や初心者向けに教えている臨済宗・妙心寺派の東京禅センタ-(世田谷区)にいってみた。ここでは月2回「禅入門ワ-クショップ」画開かれている。参加費は500円。

まず呼吸の練習。声に出して「む-」という。「座禅に入って呼吸するとき、心の中でむ-と言ってもいいですよ」。その通りにした。数を数えるよりも呼吸に集中できた。「前に向かうエネルギーが出るから」と言う。なるほど。
座る時間は約10分。短くて物足りなかったが、事前に体を疲れさせたからか、雑念は浮かばなかった。
ワ-クショップ は、心理学を学んだ松竹さんのアイデアを盛り込んでいる。「通常の座禅会でいきなり座っても、集中するのは難しい。心と体は切り離せない。体を動かすことで入りやすくなる」という。
体験を通して、集中するのは簡単ではないとわかった。だが、呼吸法は大事と実感した。心身が疲れてきたら、座禅をしてみよう。
不安・緊張和らぐ
座禅にはどんな効果があるのだろうか。
冠原記念病院顧問で心療内科医の菊池長徳さん(75)は、仕事のかたわら座禅の道場に通っていた。東大の心療内科にいたころ、呼吸に注目し、座禅を長く続けている人の座禅中の呼吸を調べた。「はいて吸って」を1回として通常は1分間に14~15回だが、この人は1回半だけ。座禅中は呼吸がゆっくりになることを確かめた。
心身症の患者は呼吸が速く、浅かったり深かったり不規則という。「座禅をして呼吸が整うと、皮膚温が上がり血流がよくなる。吸うと交感神経が、はくと副交感神経が刺激され、緊張と弛緩のバランスが取れる。不安や緊張が和らぎ、血圧も安定します。]
癌患者をサポ-トするNPO「ジャパン・ウェルネス」(東京都港区)は毎月、京都から住職を招き、座禅会を開く。米国の患者会が座禅をしているのに習い、「補完療法」の一つとしてヨガやアロマセラピ-とともに取り入れた。不安で不眠だったけれど、眠れるようになったり、精神的に楽になったりすることがわかった。
座禅

座禅
釈迦が悟りを開いたときの修行法。
座禅だけが修行ではなく、すべての修行の基本になる。掃除や雑巾がけ、食事の支度などをするときも座禅の呼吸を意識する。与えられたことをおろそかにせず、その役になりきってやることが大事。
へその下の丹田を意識して腹式呼吸する。呼吸を整えて心身の統一をはかる。こだわりから離れ、自分を見つめる。禅宗には臨済宗、曹洞宗、黄檗(おうばく)宗がある。
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